Comrades from England

2019/07/17

 Comrade「カマレイド」。和訳すると同志・深い絆の仲間。ことラグビーの人間は他のスポーツに比べて、対戦相手への仲間意識が非常に強いと言われている。その歴史をさかのぼると、イギリスで発祥したラグビーは紳士育成手段として用いられてきた。将来のイギリスを背負うジェントルマンのあるべき姿を追求すると、味方だけでなく対戦相手をも心からリスペクトする精神が必要とされた。アフターマッチファンクション、ルールではなくフェアを貫く価値観、敵味方が入り混じった観客席、数えればきりがないほど、ラグビーには相手を「カマレイド」としてリスペクトする要素が存在する。それがラグビーの文化であり、精神である。

 7月15日、ラグビーの母国イングランドからクイーンエリザベスグラマースクール(QEGS)が来日し、アルタイルズとしては3年連続となる日英親善試合を行った。QEGSは選手37名の2チーム体制で来日。ファーストチームの相手を東京の本郷高校にお願いし、セカンドチームと我々は対戦させてもらった。2年前のラフボロ戦は平学との合同チーム(とっても8割平学)、昨年のトリニティー戦は湘南工大との合同チーム(後半に全入れ替え)だったが、今年はアルタイルズ単独で1試合を戦った。

 昨年までとの最大の違いは、ラグビー以外の交流を丸一日かけて行ったことだ。午前中はQEGSを平工に招き、文化交流として武道(空手、剣道、柔道)をアルタイルズの生徒や空手部員、柔道部員と一緒に行った(計画していた野球は雨天で断念)。
 空手ではQEGSとアルタイルズがペアで空手の形に挑戦。柔道では簡単な打ち込みの後、寝技勝負を楽しんだ。剣道はQEGS同士で勝負。初めて体験する日本文化を全身で楽しんだ。
 
 文化交流のクライマックスは、
Matsuyama vs IanQEGS)というヘッドコーチ剣道対決。見守る全員の期待に応え?Mettauchi にして差し上げた。日本で出会ったSmall Samurai からBokoBokoにされた経験は、母国に持ち帰る素敵な土産話となったはずだ。これにより、Ianと私の間に強い絆が生まれ、彼とは親友になることができた。



 午後は小グループに分けて鎌倉観光&ランチ。
QEGSとアルタイルズで作ったグループで、それぞれ学校を出発した。それぞれが単語程度の英語でコミュニケーションを取ながら観光を楽しんだ。時間的にはかなりタイトだったが、実はガイドしたアルタイルズにとっても未知に近い鎌倉。江ノ電の遅さは想定以上だった・・・。試合会場のYC&ACには半分のグループが遅刻到着。



 夕方はいよいよゲーム。会場は今年も
YC&AC。日本ラグビー最古のゲームが行われたと言われている伝統と格式のある外国人向けスポーツクラブだ。

 海外のチームと戦うときは、メンタルが非常に重要となる。萎縮することなく、いかに自信を持って強気でいつものプレーができるか。そして、いかに相手をイライラさせ自制心を失わせることができるかが鍵だ。朝9時から友として楽しい時間を共有してきたQEGSのメンバーたちに、本気の闘争を吹っかけた。

 竹やりの如く突き刺さり続ける膝下タックル。オフロードパスを封じるべく上半身に突き刺さる2本目の竹やり。刺さる、起きる、並ぶ、また刺さる・・・。アルタイルズ史上かつてないほどの自信と闘志に満ち溢れたDFで相手を封じ込めた。やがて苛立つ相手にペナルティーが増え、少ないチャンスをものにしてスコア。後半途中まで12-0でリード。

 日英試合初勝利は確かに掴みかけていたが、無念、最後の最後にスルリと逃してしまった。無駄なペナルティーが多かった。アタックでは敵陣でボールを継続する勇気が持てず、追加得点を奪えなかった。最終スコアは12-12のドロー。しかし、強いメンタルを持ち、よく体を張り、よく戦い抜いた。試合後、多くの選手の表情には、自信と充実感が満ち溢れていた。


 QEGSファーストチームと本郷高校のレベルの高いゲームを観戦(見学)した後は、いよいよファイナル。アフターマッチファンクションだ。

 昨年までは円卓で相手と向かい合っても、何しろ外国語の壁が立ちはだかり、お互いがほとんど沈黙。しかし今年は丸一日の交流とあって、多くのメンバーが事前にインストールしていた「グーグル翻訳アプリ」のおかげで、昨年までよりは圧倒的に会話が増えた。しかし雰囲気が良くなった本当の理由は、文化交流や観光、そして何よりラグビーの激闘を通じて、お互いへのリスペクトと敬愛が深まっていたからに違いない。
 
 文化交流、観光、ゲーム、アフターファクションと、朝から晩まで濃密な交流を楽しんだ。アルタイルズの今回のミッションは、ラグビーの母国イングランドからやってくる相手に対し、最大級のリスペクトとホスピタリティーをもって交流することだった。
 「シンガポール、福岡、広島、京都、静岡を経て神奈川にやってきたが、間違いなくこの神奈川でのHiratsuka高校との楽しい思い出が、ツアーで最高の思い出となったよ。」
 何人もが口にしたこの言葉が、我々の努力が全て実ったことの証となった。


 朝から共に笑い、ラグビーで激しく闘い、最後も共に大笑いした。朝9時にバスから降りてきたイギリス人たちは、その12時間後にはカマレイドになり、さらに12時間後に日本を発った。
 ビジネス抜きで世界とつながる。そして、たった1日でカマレイドになる。やはり、ラグビーは人生を豊かにしてくれる。


QEGSの皆さん、本郷高校の皆さん、毎年こんな素敵な機会をくれるMikeさん、空手部、柔道部の皆さん、通訳として来てくれた吉田弘、剣道パートナーの先岡タケル、本当にありがとうございました!!


カイリ
『イギリスのラグビークラブの人たちと英語で会話し、鎌倉も一緒に観光して、いい試合もでき、その後のアフターマッチファンクションも、とても盛り上がりました。海外のチームとの試合は滅多にない機会なので、とても良い経験になりました。その場に居た全員が楽しめ、勉強になった、とても良い日になったと思います。』


ツバサ(QEGSが選んだマンオブザマッチ)
『午前9時から長い一日が始まりました。午前、クイーン・エリザベスの方々と文化交流。今回はいつもと違い、ホームとして出迎えました。最初は色々な部分で緊張だったり、不安がありましたが、思った以上にクイーン・エリザベスの方々が真剣に私が伝えようとしていることを聞いてくれたり、楽しそうに交流してくれていたので良かったです!


 文化交流が終わってから鎌倉までご飯を食べに行った時は私自身が英語が得意ではないので、Google翻訳を使いながらトークをしていました!ご飯を食べている時も気を使ってくれたり、とてもいい方々ばかりでした!
 夕方の試合。去年に引き続きYCACで試合をすることが出来ました。今回は去年より長い25分ハーフ。アルタイルズのみんながいつも以上に気合が入っていてとてもチームがまとまっていたと思います。今回の試合で沢山の課題を見つけたし自信がつきました!私にとってもとてもいい経験になったので良かったです!文化交流手伝ってくれた方々ありがとうございました!』

ヒデトラ
『今回初めて他国の人とふれあいお互いに言葉がわからず、コミュニケーションがうまくとれませんでした。翻訳機を使いできるだけ多く話すようにしました。午後YC&ACに行く前に鎌倉を一緒に観光しました。お昼にご飯を食べるとき注文するのを手伝った時に、日本語で「ありがとう」といわれて嬉しくなりました。言葉がわからない相手でも、頑張って接すれば仲良くなれるんだと思いました。とてもいい経験ができました。』


カイ

『文化交流や鎌倉観光では、Google翻訳をつかいながら外国の人と話すのは大変でしたがこれまでにないいい経験ができたと思います。今回のゲームは、12-12の引き分け。勝つことはできなかったけれど、得られたものや改善していかなければいけないところが色々見つかりいい試合をすることができました。
AMFのときには外国のかたとの距離も縮まり、元気が考えてくれた出し物もやりきれたので良かったです。自分の人生でもう二度とないであろう経験ができました。かいりの板が割れていれば大成功でした笑』


以下、この日の流れを写真で。

ウェルカムパフォーマンス 空手の演武

ウェルカムパフォーマンス 剣道の技を披露







30センチのおもちゃの竹刀に替えても、Ianを滅多打ち






180センチを超えるタカノリがリフトしているのに、相手は一人でこの高さ!

本郷高校を花道で送り出す。


ペナント、チームジャージ、ネクタイなどたくさんの記念品をいただきました。


各チームのスタッフとレフリー。もちろんカマレイド!



鎌田兄弟のテコンドー対決。 弟タツヤは昨年度中学日本チャンピオン!



本郷高校のパフォーマンスはなんと・・・。盛り上がりました!

4チームのキャプテン対決!



永遠にカマレイド!