春シーズン終了 『それぞれの現在地』

2019/06/28

 期末試験までの春シーズンも最後の1ヶ月となった6月1日、西湘地区7人制大会が行われた。昨年は上級生の部に実力別に編成したABの2チームでエントリーしたが、勝利の記憶はない。優勝を目指した1年生の部も初戦で大苦戦、決勝では西湘高校に負けに近い引分けとなった(内容は完敗)。今年は資格試験などの影響もあり、学年別の2チームでエントリー。1年生も2チームがエントリーした。

 結果は、3年生チームが2勝1敗の準優勝。2年生チームが1勝1敗の3位となった(全8チーム参加)。3年生チームは決してセブンス向きではない選手たちだが、積み重ねてきた地力をしっかりと発揮した。
 特筆すべきは、紫音の活躍。独特のステップワークや柔らかいハンドリングなど誰にも真似できない力を持ちつつも、コンタクトプレーを好まず、活躍の機会は2年間ほぼ無かった。15人制ではコンタクトプレーを誰よりも長所とする同じポジションの2年生に、レギュラーを掴まれていた。そんな状況で、引退まで残された期間も数えられるようになってきた。ゲーム前、大きな期待を込めて「これがラストチャンスかもしれないぞ」と告げた。


 その期待に、紫音は見事に応えた。苦手だったはずのDFでは躊躇なく前に出て身体を当て続けた。アタックでも得意のステップやパスを駆使して、チームの勝利に大きく貢献した。3試合で30分を超える出場時間も、間違いなく過去最高出場時間。「あのシオンが汚れてる!」とチームメイトがからかうように、誰よりも泥だらけになって実力と意地を出し切った。

 ショウと翔吾はいつも通りの圧倒的運動量と貢献度。ケガからの復帰戦となるタカノリ(鎌田組の重要な核)も短時間の出場ながら長所を生かした力強いプレーを見せた。
 しかし、決勝は力負け。もともとセブンスに全く向かないメンバーなのだから、割り切って最後までポジティブに戦ってほしかったが、リーダーシップなく全員が沈黙して雰囲気もスコアも崩れていった。


 2年生チームは、本来セブンス向きの選手が複数存在する。その利点を活かして初戦は突破したものの、準決勝は優勝チームに大敗。相手より積み重ねた努力が全く足りない。理由がシンプルな大敗だった。何より残念なのが、3年生チームや1年生チームが戦っている最中、半数以上の人間が同じクラブとは思えないほどの無関心だったことだ。「このままじゃ俺らの代はまずい」と今まで再三訴えてきた翼や翔太などの気持ちは、いつまで経っても学年全員の心には届いてくれない。大量入部大量退部の代、霧はいまだ晴れていない。腹をくくれるか。本当にそれだけ。


 1年生は経験者を両チームに分散させたが、やはりエイシが率いるAチームが優勝を狙うチーム。「圧倒的な力を見せつけて優勝」をおそらく目論んでいたが、初戦がまさかの大接戦。セブンスの恐ろしさを経験した。硬さの取れた2戦目で大勝すると、決勝でもその実力を存分に発揮した。「22-0」でライバル平塚学園を下し、見事に優勝を掴み取った。

 触れておきたい選手は、Bチームのリザーブ・キヨマサ。器用なタイプではないので、セブンスでは出場時間は極めて少なかった。しかし、どの学年のゲームでも最もタッチラインに近い位置に立ち、気持ちを込めて凝視していた。エイシたちAチームが戦っている決勝戦の途中、Bチームのキヨマサを本当に交替で出場させたくなった(ルール違反なのでその気持ちを治めたが)。


6月23日
 春シーズン最後のゲームは、日大藤沢と帝京八王子&東海大菅生と三つ巴。日大藤沢は現3年生が1年生の頃、花園予選で「0-97」で敗れた相手。そんな経緯もあり、今年の「実力目標」としているチームだ。ゲーム序盤は平工が主導権を握り、相手ゴール前に迫った。PGを選択して3点を先取。

 しかしそこで油断が生まれたのか、緩慢な意識のコンタクトでボールを連続して失うと、モール
DFでも2連続で致命的なサインミス。あっさりと2トライを献上してしまった。最後のプレーで1トライを奪うも、「8-14」で敗れた。甘いコンタクト、サインミスなどほんの少しでも緩みがあると簡単にやられてしまう。やれた部分も感じつつ、非常に有意義な経験となった。


 
 帝京八王子&東海大菅生との対戦は、メンバーを半分以上変えたBに近い編成で臨んだ。内容は優勢だったが、トライ時に回り込もうとしてデッドボールラインを超えてトライを失ったり、ペナルティータッチキックがタッチインゴールを割ったり、考えられない自滅プレーを連続。経験の浅い選手たちのタックルミスも目立ち、5-5の引き分けとなった。


 1年生試合は、平工対日大藤沢&帝京八王子というカード。近年最多の経験者を迎えた日大藤沢と優れた指導者が叩き上げている帝京八王子。想定以上に強かった。
 「ラグビーではタックルにいく選手が一番尊敬される」と送り出した。開始早々から、タックル自体は上手くないのでいいタックルにはならないが、リュウヘイやタツヤが果敢に相手に食らいついた。しかし、まだタックルできない選手も多く、帝京八王子の別格のスピードを有するセンターに再三切り刻まれ、3トライを許した。

 後半は上級生のABのゲームに出場させたため温存していたエイシとヒデトラを投入。前半とは変わって互角の勝負となり、1トライを取り返してノーサイドとなった。
 前任校の監督時代から含めて過去10年間で最もレベルが高かった1年生試合。勝つことはできなかったが、一人ひとりがリアルラグビーを十分に体感することができた。

 翌週に行った1年生だけの映像ミーティング。「できたこと」「できなかったこと」「これからやるべきこと」について、選手だけで確認し合った。話し合いに対する参加度や発言の質など、その前日に行った上級生の映像ミーティングよりも明らかにレベルが高かった。これからこの代が、間違いなく上級生たちの立場を脅かしていく。お互いが努力の量で刺激し合い、本物の絆と信頼関係を作るためなら衝突も厭わず、しかし笑顔と思いやりを忘れず、仲間への尊敬と深い情に満ちた代になってほしい。


カイリ(長いケガ人生活からの復帰)
『この1ヶ月。アルタイルズは良い戦績を残せていると思います。チームの成長が感じられる良い1ヶ月だったと思います。ですが、他校と戦って分かったチームの欠点もあります。これからも、自分も含め、チーム全員で成長していきたいと思います。』


紫音
『この6月は自分のラグビー人生で最も重要で意味のあるものしでした。

これまでも何度か試合には出たけど、まともにタックルに行けたことがなく何もできずに終わっていました。けれど今回のセブンスでは個人のタックルスキルが必要とされる場面でしっかりタックルに行くことができ、初めて何かを成し遂げて試合を終わらせることができました!
今後は花園戦も近いので持久力やパスの精度を高めてもっといろいろなことを成し遂げられるようになりたいです。』


ヒカル(入部以来1年2ヶ月も我慢して、待望の初ゲーム出場!)
『初めての試合に出た。今まで出れなくて1年間みんなより遅れての試合。練習をしっかりやって試合に挑んだけど、自分のしたいことが出来なくて難しくて、自分に少し不満を持った。だけどラグビーは好きだし、部活のみんなとも練習の時間は、好きなのでこれからも、頑張って自分の番号2番を取りたいです。』


エイシ(日藤戦で早くもAデビュー)
『僕はアルタイルズの一員としてとても楽しい毎日を送れています。日藤戦では上級生の体の強さとスピードの違いを実感させられました。今後の僕の目標は誰にでも負けない体づくりをすることです。1年生のセブンス大会で優勝できたことはとても嬉しかったです。』


シュン
『初めて15人で試合をして良いプレーや悪いプレーがたくさん出て改善点が見つかった試合でした、次に活かせるように努力したいです。今後の抱負は菅平合宿までにチーム課題や個人課題で出た課題をしっかりと練習で直して試合に通用するプレーをして行くことです。』


 
 次はいよいよ大一番。今年もイングランドのチームとの日英親善試合を戦う幸運を得た。相手はクイーンエリザベスグラマースクール。聞いたところによると、昨年イングランドのある大会で決勝まで進み、世界ラグビーの聖地・トゥイッケナムスタジアムでゲームを行ったほどの超強豪チーム。7月15日、日本ラグビーで初めてラグビーのゲームが行われたと言われている神聖なるクラブ・YC&ACで行われる。
 イギリスではまず目にしないような、独自性溢れるラグビーを披露したい。