内藤組卒部式 『継承と創造』

2019/03/11

 雨の予報に反して青空すら見える天気は、前キャプテンの晴れ晴れとした人格のおかげかもしれない。3月10日、アルタイルズ内藤組の卒部式が行われた。
 私が赴任する以前のクラブを知っている最後の代。2年前、初めて彼らと会った日の記憶は今でも鮮明に残っている。部員は僅か6名。初対面の新監督を警戒する感じはなく、純粋に何かを期待しているような真っすぐな眼差しだった。

 平工ラグビー部の70年の歴史には、部員数が多い時代もあれば、僅かな数だけで楕円球を追っていた時代もある。部員が多ければ数多くのチャンスに恵まれることになる。得られる経験も刺激も多く、必然的に見える世界も広がる。部員が僅かしかいない代は、きっとその逆だ。だからこそ、苦しい時代に僅かな人数で歴史を継承してきた者には、最大限の敬意を抱かずにはいられない。

 人数の少なさ故の切ない経験が続いても、ラグビーが好きで、仲間を愛していたからこそ、投げ出さずにクラブの灯を消さずに守り続けた。内藤組の1年目はきっとそんな価値のある時間だった。

 2年目、新参者である私に徹底的な変化を求められた。新しいやり方、新しい価値観、新しい感覚を常に求められ、必死でそれに応え続けてきた。きっと悔しい思いや納得いかないこともあっただろう。それでも腹をくくったように自分自身を変え、一緒にゼロからアルタイルズを創り上げてくれた。
 3年目、部員数は40を超え、ついに25年ぶりの県大会勝利や地区大会初優勝という堂々たる結果まで残した。プロセスだけでなく結果も残し、平工ラグビーの堂々たる継承者にして、アルタイルズの創造者となった。

 
 午前10時、OB会代表の寺社下さんや前年度卒業の萩谷と山崎など駆けつけてくれたOBたちが内藤組に加わり、昨年同様に追い出し試合を行った。

 遠藤のやっと役に立ったコンバージョンキック、嶋崎の現役時代よりキレのあるラン、槙のSOまで届かなくなった哀愁を伴うパスアウト、桐山の爽快なノックオン、マネージャー安慶名のパワフルなトライ、そしてキャプテン内藤の圧倒的ラインブレイク。笑顔と見どころ満載のゲームは、内藤組の快勝となった。
 ゲーム後は、現役が準備した一発芸を楽しみながら歓談。その後視聴覚室に移動し、静粛なる卒業セレモニーを挙行した。最後は全員で校歌を斉唱し、現キャプテン・カイリのスリーチアーズで締めくくった。



卒部記念映像

内藤龍斗(キャプテン)
『3月10日、自分達の代の卒部式をやってもらい卒部しました。
練習の後みんなでたあいのない話で盛り上がって部室に1、2時間いたのも本当にいい思い出の一つです!本当にあっという間だった3年間毎日本当に楽しかったです!この3年間でラグビーを通し多くのことを教わり、人間として成長できたと思います。

1年、2年はとにかくラグビー、部活を楽しんでやってほしいです。楽しんでやれば、上手くなるし引退した後も後悔なくいい思い出になると思います!
アルタイルズがもっと大っきくかっこよく楽しい部活になることを期待してます!
今まで本当にありがとうございました。』



遠藤誠大(バイスキャプテン)
『卒部式を終えて、私はアルタイルズを引退することにとても寂しさを感じました。追い出し試合の時、(ケガのリスクなど)色々な事情で本気のぶつかり合いの試合は出来なかったけれど、それでもとても楽しく、現役に頼もしさも感じました。

追い出し試合と卒部式の後、いつものように後輩とガストへ行ってこの3年間のことを振り返ってご飯を食べながら笑いあったこと、最後までわちゃわちゃと先輩というより同じスポーツをする仲間として接してくれる後輩ともうラグビーが出来ないことが、とても寂しく感じる一日でした。
この3年間多くのことがありました。時には言い合いの喧嘩をしたことや後輩を傷つけてしまったり、先生に突っかかってしまったり色々な出来事があったけど、3年間この平工ラグビー部アルタイルズでいたことをとても嬉しくまた、誇りに思いました。

今の1年生や2年生は部員が多いことで人間関係に悩まされることが多いと思うけど、今感じている悩みや苦しみは引退する時とてもいい思い出として蘇ってくることだと思うから、卒部式の時同級生や後輩とこんなことがあったな!と笑い合えるように、今を大事に真剣に向き合って欲しいと思う。頼りない先輩だったけど今まで本当にありがとう!これからはOBとしてみんなを陰ながら応援しています。

また、これまでにお世話になった先生方、保護者の方々、先輩やOBの方々に、数年後、立派な大人になったねと言って貰えるようこれからも全力で努力して参ります。3年間本当にありがとございました!』


カイリ(現キャプテン)
『卒部した先輩達とは最後まで本当に楽しいラグビーが出来ました。どんな時も笑って過ごせる先輩達と一緒に過ごせて本当に良かったです。とてもいい思い出になりました!
今度は自分達が楽しくラグビーをする為に1回1回の練習を大切にし、皆で楽しいラグビーを出来るように頑張りたいです!』



 内藤組6人に熱と魂があったからこそ、過ごした日々は素晴らしいドラマとなった。懸けた分だけ、日々は輝く。全てを終えた後、過ごした3年間の日々が宝物の記憶となる。彼らの生きざまと背中を忘れることなく、アルタイルズは進化を続ける。








OB会代表の寺社下さん。いつも心のこもったご支援、本当にありがとうございます!

今年もマネージャーが素敵なボードを作ってくれました!