『ただ尽くすだけ』 被災地支援、七夕ボランティア、野球部応援  

2018/07/23

 ボランティアという言葉は、「与える側」というスタンスがあるような気がしてあまり好きではない。「誰かのためなら頑張れる」がお気に入りだ。人間自分のために出せる力などたかが知れている。「俺はこれくらいでいいや」の妥協と自分への諦め。自分のためだったらとっくに諦めているけど、あいつのためならどれだけきつくても頑張ってやるさ。アルタイルズで最も経験してほしい感覚だ。そのためにラグビーがあると言ってもいい。
 そこには確かなる絆や愛情があるはずだが、それとは別に「自分への見返りを求めず、ただ尽くすだけ」という経験も人生において悪くはない。
 7月の酷暑の中、3連続でそんな経験を積んだ。


7月22日 西日本豪雨被害に対する救援金活動

 午前中に試合を行った後、13時から17時までの4時間を約40人で4ローテーションを組んで行った。場所は平塚駅北口の3カ所。40℃近い猛暑日とあって、地上に人はまばら。しかし全員が心を込めて頑張りぬいた。

 「募金へのご協力をお願いします」といった定型文ではなく、自分の想いを自分の言葉で伝え続けた。シュンスケ、マサチェロ、セイタ、マサヤなど本当に多くの部員が、録音したくなるほど立派な言葉で訴え続けた。翔太やアスカたちは何十回でも深々と頭を下げ続けた。誰もラグビーはまだあまり上手くもないし、勉強も大して得意ではないが、この日のみんなの姿は本当に素晴らしく、心の底から誇らしいものだった。

マサチェロ
『最初は恥ずかしかったです。でも今こうしている間に、食料、飲料水、住む家、家族すら失ってしまった人達が苦しんでいると思うと猛暑の中でもとても切なくなりました。この気持ちをそのまま街の人達に問いかけると、共感してくれる人が応援の言葉と共にお金を入れてくれました。僕はこのことを通して人の温かみを感じることが出来ました。』

翔太
『今回、西日本豪雨被害についての募金活動を行いました。部員のみんなは西日本の方々を思い、感情を込めて演説している人がたくさんいました!
今も暑い中西日本の方々は家も失くし大切な人も失くした人は少なくありません。ですが、今回の募金活動で少しは復興の力になれたと思うので良かったと思います!』



7月7日 七夕祭ボランティア

 昨年同様の活動。今年は曇り空に救われた。体感的には昨年よりもはるかに楽に感じた。昨年はゴミ拾いを通じてチームビルディング(チームワークづくり)の効果を感じたが、今年はその点ではいまいち。来年は「休憩時間の携帯ゲーム禁止」を徹底しよう・・・。

ジョニー
『今回初めてボランティアに参加してみて、毎年みんなが七夕祭りを気持ち良く楽しめるのは地域の多くの人が支えてくれているという事がわかり、それに参加し地域にまた七夕祭りに貢献することができて良かったです。』



7月14日16日 野球部応援団

 野球部が部員数不足で全員ベンチ入りしたため、スタンドでの応援がゼロに。よってラグビー部が学校を代表する応援団として野球部応援を行った。「アフリカンシンフォニー」「狙い打ち」「紅」「ルパン三世」などメジャーな曲を選び、楽しんで応援した。試合前後の相手とのエールの交換はオールブラックスの「ハカ」アレンジで。相手スタンドからはどよめきと大きな拍手が起こり、想定以上の大成功だった。

シュンスケ
『野球部の応援をするのは初めてで、自分に団長がつとまるのか最初は不安でしたが、考えを変えて「むしろ自分にしかできない」と考えることでやりきることができました。同じ平工の仲間が頑張っているところを全力で応援することで、なにか一体感を得たような気がしました。また、団長という役柄を経験したことで、自分のリーダーシップ力をほんの少しだけ育てることができたと思っています。』


 こういった活動をするときには、いつもお決まりの説明をしている。

「これをやる意味は何なのか。自分にとってどんな意味があるのか。その答えを教師や大人から押し付けられてしまっては、何の価値も成果もなくなる。自分で考え、自分だけの納得した答えを持ち、自分の意志で活動に臨むこと。」

 この3連続企画、特に被災地救援活動については、間違いなく各自が自分の答えを持ち、自分の意志で一生懸命取り組んでいた。だからこそ、間違いなく一人ひとりにとって大きな意味を持つ素敵な経験となった。