「Wish upon a star」平学を倒し年間目標を達成。

2021/10/03

 ブレディスローカップ(ニュージーランド対オーストラリア)、バーシティーマッチ(オックスフォード対ケンブリッジ)、早明戦、アルタイルズ対平塚学園。つまりは、年に一度お互いのプライドを懸けて戦う定期戦だ。「ベストいくつ」というくじ運で決まる目標設定に違和感を持ち、一昨年からこの平学戦を年間の最大目標として掲げている(地区大会決勝)。チームが緩い空気に流されたり、プライドのレベルが落ちたときにたびたび発してきた言葉が「いまの瞬間、平学の部員はどう過ごしていると思う?」。いつでも「平学」と耳にするたびに「楽に逃げたらダメだ」と自分たちを律してきた。つまり、アルタイルズは良きライバルのおかげで、ここまで歩んでくることができた。しかし、感謝の気持ちや仲間意識は試合後に思い出せばいい。この試合は結果だけがすべて。「どんなラグビーでも構わない。1点差でも勝つ」を合い言葉に臨んだ。


 先に行われた平学とのBマッチは、気持ちの良い快勝。ルールとラグビーの理解不足によって自ら首を絞める場面が多々あったが、ヤマトとユウマを筆頭に低く刺さり続け、フランカーからスタンドオフに移って初試合となるカイトは期待通りに躍動した。クラブメンバーのヒデヨとカズマものびのびとそれぞれの良さを発揮し、緊張感のあるゲームを楽しんだ。


 続いていよいよAマッチ。昨年はラストワンプレーで逆転サヨナラトライ&ゴールを決めて12対10で勝利。「勝って泣く」という人生において希少な経験をすることができた。
 今年は全く逆の展開。前半からアルタイルズ優位にゲームを進めるも、勝利を決め切るべきところで仕留めきれない。後半、14対0から怒濤の追い上げを食らった。流れは完全に平塚学園にあった。しかし粘って粘ってまた粘って、14対12というスコアで歓喜のノーサイドを迎えることができた。

 緊急事態宣言による部活動制限で、この2ヶ月間はまともな練習ができなかった。8月下旬からは、平日は週に1回、分散登校でバラバラに来た5~8名だけで、50分程度の個人練習を行うことしか認められなかった。Aチームとして50分間のゲームをやったのはなんと半年前の4月。ゲーム経験のなさが分かりやすく影響し、この日も致命的なほどプレー選択を間違えた。それでもアルタイルズ松岡組は好守共に前に出て、追いかけて、粘って、また粘って、見事に歓喜の勝利をつかみ取った。
 思い返せば、過去に何度もバラバラになりかけたことがあった。しかしこの日、疑うことなくOne teamになっていた。



エイシ(キャプテン)
「待ちに待った平学戦、正直に言うととても不安でした。それは圧倒的に練習不足だったことからでした。ですが、みんなで決めたテーマの「オラオラ前に出る気持ち」が強く出てスタートから自分たちの流れを掴めたのだと思います。しかし後半自分たちの焦りから出たペナルティの連続で追い上げられたことは、絶対に忘れてはだめだと思いました。2点差で迎えた残り5分、全員が最後まで諦めずに守り切ったことで勝利できました!みんなが一つになったことで生まれたAチーム、Bチーム共に勝利できたことがとても良かったと思います。この勝利を活かして花園予選に向かって頑張って行きましょう!」


セナ
「平塚学園との試合お疲れ様でした。約一年前に立てたこの大切な目標が達成できてとても嬉しいです。試合中の自分たちは焦りすぎでペースが乱れましたがなんとかタックルを続けて勝つことができました。平塚学園には尊敬するところがたくさんあって試合も相手がいなければ勝つこともできなかったので感謝しています。
まだまだ課題はあるけど残り少ない時間ラグビーを楽しんでいきたいです!」


倭漠
「自分達は平学を倒すことを目標に今まで頑張ってきました。AもBもしっかり勝って喜ぶために必死に試合に臨み恐怖や不安がどうでもよくなるくらいに全力で戦って勝つことができました。このような体験はこの先あるかわかりません。今の喜びを噛み締めたいと思います。」


カイト
ラグビー部入ってからの初スタンド&初バックスでかなり緊張しましたが思ったりよりもいいプレイが出来ました!自分が得意とするステップが途中で活かせましたし何より自分で行くという心が強かったのでいつでも強気でプレイ出来ました!キック、コンバージョンキック、ドロップキックはまだまだですし、もっとルールなども覚えないとダメという色々な改善が見つかりました!自分的にこの試合を通してかなりレベルアップ出来ました!


ダン
「平学戦は3年生にとっては最終目標の試合でした。僕達は平学戦のため限られた時間の中で努力してきました。僕自身はそんな大事な試合の中の1年生メンバーでそのため責任感で気持ちがいっぱいでした。でもそれより先輩達に勝たせてあげたい、勝ちたいという一心で練習してきました。そして当日平学との試合お互い五分五分の戦いでどっちが勝ってもおかしくない緊張感溢れる試合でした。そして僅差で勝つ事が出来ました。平学戦を通して自分の課題が見つけれたことなどとても学ぶ事がありました。そして何より先輩達と試合が出来たことがとても楽しかったです。」

年に一度、平学に勝ったときだけ歌える「ビクトリーロード」


 アルタイルズという名前は、七夕物語の彦星(アルタイル)から取っている。「Wish upon a star」アルタイルズのTシャツの文字だ。「願いは叶う 想い強ければ」と訳している。理想的な努力を重ねた日々では決してなかっただろう。それでも一人ひとりが「想い」を大切に過ごしてきたから、今日の結果がある。
 年間の最大目標を達成したアルタイルズ松岡組。最後の勝負・花園予選まであと2週間となった。見慣れた景色、聞き慣れた声、当たり前だった毎日。どんなにあらがえど、終わりの瞬間はもう間もなくやってくる。

だからここから先は「この大好きな仲間たちとの時間を終わらせない」ために戦う。