西湘地区大会優勝 「内藤組のうちに」

2018/09/17

 9月15日11時55分、キャプテンのリュウトが冷静にボールをタッチに蹴り出し、ノーサイドの笛が響き渡った。最終スコアは15対5。平塚学園を下し、平工アルタイルズは西湘地区大会優勝を決めた。
 
 昨年10月、内藤組が始動した際に自分たちで話し合って立てた目標は「秋の地区大会で平学を倒して優勝する」だった。平塚学園は毎年この地区大会では3年生を直後の花園予選に向けて温存し、下級生中心にチーム編成をしている。だから純粋に平学を倒したとは言えないが、それでも自分たちが立てた目標を達成したことの価値が下がることはない。
 平工もゲームに出た3年生は僅か4人。このゲームでは自分たちの信じてきたラグビーを、魂を込めて堂々とぶつけた。多彩なオプションを駆使する相手に対し、タックルとブレイクダウンで勝利を手繰り寄せた。


 降り続いた雨でグランドコンディションは最悪レベル。素早いテンポで大きくボールを動かし続けたい平工としては、このコンディションは望んだものとは真逆だった。
 それでも自分たちのラグビーを貫き、その精度もいつの間にか成長していた。キックオフ直後から11フェーズ、キックとターンオーバーを経由してさらに11フェーズ、合計22フェーズをミスなく継続して先制点を奪った。

 前半終了間際のトライも10フェーズ継続して奪ったもの。勝敗を分けるポイントの一つ目として示していたアタックブレイクダウンで見事に球際を制した。
ゲームメイクもいつの間にかベンチ(私)とゲームメイカーたちの間のズレはほぼなくなった。心・技・体・知ともに成長を証明してみせた。

 課題はいくつも分かった。それでも年間のターゲットゲームに勝利したのだから、試合後のコメントは「ナイスゲーム!よく頑張った!」だけで十分だった。そもそもの目標設定が低かったとは全く思わない。3年生抜きでも平学は明らかに自分たちより上を生きる素晴らしいチームだ。この日のゲームも、あと少し準備不足だったら間違いなく勝てなかっただろう。

 平学だけではない。西湘高校(初戦で平工が49-0の勝利)や大磯高校も誠実に努力のできる好チーム。私たちが努力しているとき、彼らも努力している。「時間」「回数」という軸だけで比べると、私たちよりもはるかに努力しているはずだ。この地区の良きライバルたちに勝利することの価値は十分に大きい。



リュウト
『地区大会で優勝することができました!約1年前に自分たちで決めた目標の1つ地区大会で優勝するとゆうことを達成できとにかく嬉しいです。引退まであと1ヶ月くらいです。その1ヶ月でもう1つの目標のメリハリのあるクラブをしっかり作って、後悔なく引退できるようにしていきたいです!』


マキ
『今回の地区大会で年間目標としていた地区優勝と打倒平学を果たすことができました!これもみんなが心を一つに目標に向かっていたからだと思います。個人的には西湘戦の時からチーム全体の雰囲気が良く雰囲気が悪くなっても、自分達ですぐに立て直すことができていたのも今回の優勝に繋がっていたと思います。自分の中では今までで一番最高な優勝という結果を残せて、めっちゃ嬉しかったです!試合後にラグビー続けていて良かったなぁと思いました。まだまだ改善する余地は沢山ありますが、次の花園予選も平学と戦うので自分自身もチーム全体も今の気持ちのまま試合に臨んでいけたらいいと思います!』


カズキ
『今回、年間目標であった打倒平学を達成出来てとても嬉しかったです。今回は雨の中での試合で滑りやすくなっているせいか、相手のハンドリングエラーが多く、それに反応してすぐボールを取りに行き、自分たちのボールにできたのが勝因だと思いました。今回の試合では課題が沢山できたので、10月の花園予選に向けて今回の課題を克服して、完璧な準備が出来たらいいなと思います』

 
 天のいたずらか。抽選の結果、花園予選初戦の相手も平塚学園と決まっている。今度は完全にベストメンバーで来る。尊敬すべきチームとの再戦。
 大切なことは、残りの期間に本気で向上し続けることだけだ。内藤組がどの高さまで達して最期を迎えることになるのか。相手ではなく、自分たちの集団としての質にこだわり続けたい。

 1年半前に部員6名でスタートしたアルタイルズ。現在45名を抱える学校の一大クラブとなったが、クラブの在り方についてはずっと模索中だ。決して今は理想の姿ではない。新しい代になって変えるべきことがあるのなら、今この内藤組がいるうちに変えていくべきだ。
 そして変えるべきことのほとんどは、きっと一人ひとりの心の中にある。





翌日はチームビルディングの一環としてBBQ!